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【読書感想・レビュー】破軍の星 著者、北方謙三

こんにちはTAKAです。

今回紹介する本は北方謙三著「破軍の星」です。

主人公は北畠顕家、南北朝時代のお話です。

 

北畠氏というと戦国時代に伊勢方面に勢力を持ち 、三瀬の変により織田家に乗っ取られてしまったという印象があると思います。

しかし、実は青森県にも北畠氏を祖と称する一族がいました。そこから興味を持ち、今回の主人公である北畠顕家その生涯を描いた小説を読んでみました。

 

 

書籍情報

書籍名:破軍の星

ページ数:392

初版発行:1990年11月15日

著者:石塚千尋

発行:集英社

参考図書

・北畠顕家卿(中村孝也)小学館

・南朝の若武者(大島延次郎)人物往来社

・福島県史第1巻通史編ー原始・古代・中世編(遠藤巌)巌南堂書店

・中世東北の武士団(佐々木慶市)名著出版

・陸奥・南部一族(七宮涬三)新人物往来社

・中世奥羽の世界(小林清治・大石直正編)東京大学出版

・北畠親房公の研究(平泉澄監修)皇学館大学出版部

・日本の歴史9南北朝の動乱 (佐藤進一)中央公論社

・日本の合戦2南北朝の争乱(桑田忠親監修編集)新人物往来社

・歴史38奥州管領おぼえ書き(遠藤巌)東北史学会

・足利尊氏(高柳光寿)春秋社

・荘園分布図 上(竹内理三編)吉川弘文館

 

各章紹介

第一章、陵王の面

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陸奥守として多賀城を目指す北畠顕家安家一族が会合します。

互いにその力の底知れなさを感じ、惹かれあう両者。

奥州では北条の残党が未だ活発に活動し、さらに中央では足利尊氏大塔宮の対立が鮮明になります。

果たしてどう動くべきか日本を股に掛けた壮大なドラマの幕開けです。

 

 

第二章、北辺の雲

六の宮は正式に義良親王となった。

顕家は津軽糠部地方の叛乱を鎮圧し、その過程で「安家一族」との直接対話を試みる。

結果、安家太郎と安家利家が家臣となり、多賀国府は安定を見せ始める。

一方都の情勢は混乱を極め、大塔宮は関東へ追放。さらに北条時行の叛乱の最中に命を落としてしまう。

都からは北条時行の叛乱を鎮圧するために、足利尊氏が軍を率いて関東に向かう。

さあ、顕家はどうするのか?

 

 

第三章、回天の光

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北条時行の叛乱は足利尊氏・直義兄弟により鎮圧された。

鎌倉を抑えた尊氏は陸奥に配下の斯波家長を派遣し、顕家に睨みをきかせる。

しかし、直ぐには動かない尊氏。それは朝敵にならず、朝廷の武である新田義貞を打つ策であった。

朝廷は尊氏のその策に乗ってしまい、新田義貞を大将に討伐軍を派遣するも敗れてしまう。

そして遂に駿河の足利本隊が西に進み始める。

顕家はこの知らせを聞いて背後をつくべく進軍を決意する。

 

 

第四章、北の疾風

足利勢は箱根の戦いで勝利した勢いそのままに京都に迫る。

顕家は疾風の速さで鎌倉まで到達する。楠木正成の知らせでは足利勢を足止めできるのはあと20日との知らせが。

道中、戦の兵糧として蓄えを取り上げられた農民達の実情を見て顕家は心を痛める。

しかし、時は待ってくれない。

鎌倉には半日も滞在せず、更に駆ける。

京都に攻勢をかける尊氏、その時尾張熱田に顕家が5万の兵を引き連れて入ったとの知らせを受ける

 

第五章、白き覇道

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顕家の登場に沸き立つ公家達。

しかし、京都は尊氏に奪われてしまう。そこで京都を新田義貞、楠木正成、北畠顕家で包囲する。

兵糧の問題から打って出ざるを得ない尊氏、これを蹴散らした顕家達は追撃を行い、尊氏は船で九州方面に去っていった。

顕家は凱旋するもそこで一行が眼にしたのは偉ぶるしか能のない公家とそれを咎めない後醍醐天皇だった。

主とは何か?何のために戦うのか?考えながら3月の奥州に顕家は戻っていった。

 

第六章、孤愁

鎌倉では斯波家長が2万の兵で待ち構えていたが、京都の戦いで成長した顕家の軍の練達さの前ではなすすべもなく、顕家は白河を超えていった。

顕家は武将を領地に返し、自らは手勢を連れて乱れた奥州の地を平定していった。

そのころ九州で勢力を盛り返した尊氏が京都に攻め上がり、楠木正成が死んだことを耳にした。

楠木正成ほどの男が死んでまで守る朝廷だったのか、京都で見た公家達の振る舞いをみた顕家は思い悩みます。

悲しみに暮れる間もなく、顕家は本拠地を多賀城から霊山に移す準備をはじめ、陸奥を平定する準備を始めるのだった。

 

第七章、静謐の時

京都では恒良親王に帝位を譲り、新田義貞は北陸に逃れた。

親房からは北畠氏の勢力だけで伊勢で兵を募り、尊氏に対抗する旨だと文が届いた。
また斯波家長が関東をまとめにかかっているとの知らせも入ってきた。そうなると陸奥にいる足利勢力が再び蜂起するすることになる。

そんな予感は的中し、一度は平定した小高城の相馬一族は息を吹き返した。

顕家も防戦一方ではなく上野を攻めるなど上洛機会をうかがう。

 

第八章、西を指す星

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顕家は上洛を見据えて、白河を超えた。

目の前には雪辱を誓う斯波家長が立ちはだかるが、顕家はこれを下し、家長は自刃に追い込まれた。

顕家は勢いそのままに西に向かう。

対するは尊氏が率いる20万の軍勢、互いに死力を尽くして戦い、尊氏を追い詰める顕家。

しかし、北陸の新田が動けない。この状況を見た顕家は陸奥への帰還が心をよぎる。

 

第九章、遠き光

眼が覚めると顕家は深手を負って、介抱されていた。

先の戦いでは尊氏を追い詰めるも、尊氏本隊の猛攻に敗走した。

そして多くの将を失った。

尊氏は顕家を逃さなかった。

顕家は敵の中に駆けて行った、その眼には敵ではない別の景色が映っていた。

 

南北朝時代の東北の地図

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破軍の星 6ページから引用

 

登場人物

陸奥守の軍勢

北畠顕家

  本作の主人公。16歳にして陸奥守に任じられた青年。公家ながらも武勇のセンスも兼ね

  備え、南北朝の動乱に巻き込まれていく。

北畠親房

  顕家の父。期待を寄せていた世良親王に先立たれるも、六の宮の教育に熱心に取り組む。

  建武の新政が上手くいかないのは帝の周りの公家が悪いと嘆いている。

安家太郎/秀通

  陸奥の山の民出身。顕家を一目見た時からその器量にほれ込んでいる。

安家利通

  安家太郎の父。山の民の棟梁で一族のことを常に思っている。顕家にはあることを期待し

  ている様子。

伊達行朝

  顕家の重臣の一人。安達の北部に領地を持っている。

南部師行

  顕家の重臣の一人。八戸の根城を拠点に陸奥の北部の治安を維持してる。

結城宗広

  顕家の重臣の一人。白河に領地を持っている。

六の宮/義良親王

  後醍醐天皇の皇子の一人。顕家のことを好いており、親房から教育を受ける。

 

足利勢力

足利尊氏

  鎌倉幕府を倒すも後醍醐天皇の政治に不満を持つ武士のためを思い、武士による政治体制

  の再構築を目指す。

足利直義

  尊氏の弟。尊氏の右腕として働き、必要とあらば親王さえも手にかけるリアリスト。

高師直

  足利家の執事。直義からは少し苦手にされている。

斯波家長

  足利一門の有力武将。鎌倉を任され、顕家打倒に燃える。

 

 

感想

南北朝時代に北は東北、西は九州まで移動しながら戦うというスケールの大きさに一気読みできる作品だと思いました。

また主人公である顕家の描かれ方が魅力的で、何故戦うのか?何故生きるのかという問いが作中で展開されていきます。

また各章の説明で省略しましたが、山の民の棟梁・安家利通の壮大な夢についてのドラマも面白かったです(これはネタバレになるので伏せます)。

 

では、また次回の記事でお会いしましょう。